ラノベと生きてる話

この記事は、はんドンクラブ Advent Calendar 2020 の17日目の記事です。

はんドンクラブ Advent Calendar 2020 - Adventar

ご挨拶と記事の内容について

はんどんクラブアドベントカレンダーの企画に参加させて頂きました!

こんにちは、みにみです。

最初は大阪観光の話とか漫画の話なんかを書こうと思ったんですが、はんどんクラブの管理人さんが人を知って貰う機会にしたいというニュアンスの話もしてたので、他には誰も書かなそうな私の好きなラノベ・・・ライトノベルと、それにまつわるお話でも書いていこうと思います。最後まで読んで頂ければ嬉しいです。

 

「すべてがFになる」はミステリとの出会い

[森博嗣]のすべてがFになる THE PERFECT INSIDER S&Mシリーズ (講談社文庫)

「ちょっと読んでみて」

高校生の頃、友人に無理やり貸されたのがこの"すべてがFになる"でした。

結果、推理小説(ミステリ)なんて殆ど読んだことが無かったのに、作中に出てくる天才たちの会話を見てゾクゾクし、ドハマりしました。

本文の引用です。

「165に3367をかけるといくつかしら?」女は突然質問する。
「55万……、5555です。5が六つですね」萌絵はすぐ答えた。それから、少し驚く。

「どうして、そんな計算を?」
「貴女を試したのよ。計算のできる方だと思ったから……」女は少し微笑んだ。

「でも、7のかけ算が不得意のようね。今、最後の桁だけ時間がかかったわ。何故かしら?」
「別に不得意ではありません。7は好きな数字です」
萌絵は脚を組んで、気持ちを落ち着かせる。
「いいえ、貴女は気がついていないのね。初めて九九を習ったとき、
貴女は、7の段が不得意だったはずよ。幼稚園のとき?もっと小さかったかしら?7は特別な数ですものね。貴女、兄弟がいないでしょう?数字の中で、7だけが孤独なのよ」
萌絵は確かに一人っ子だった。

森博嗣先生は頭が良い人を書くのがバツグンに上手いと思う。事件が起き、天才同士が言葉を交わし、真実に迫っていくのが気持ち良かった。

みにみ少年はミステリ好きになり、本を漁り始めたのであった。

そして・・・年月が経ち、みにみ少年は大人になり、登場人物がバンバン死んで頭を使うミステリを読まなくなってしまったのであった・・・。おしまい。

私は見てないけど、ドラマ・アニメ化もしたしタイトルだけ知ってる人も多そうですね。

あと大事なことなので言いますが、この作品はラノベではありません。

これは界隈の人向けに怒られないために残したメッセージだ。

 

オーバーロード」と クソ高い本

 [丸山 くがね, so-bin]のオーバーロード1 不死者の王

(絵がかっけぇなぁ)

アニメで知ってる人も多いでしょうが、作品の紹介からいきましょう。

廃課金ゲーマーの鈴木悟はやり込んだネットゲームのサービス終了日に、未練がましく最後までログインしておりました。すると、ゲームの世界に自身のキャラクター、装備品や拠点、そしてなんと作成したNPC達も含めて異世界に飛ばされてしまいます。

ゲームの腕は立つ鈴木悟(ただし頭はあまり良くない)と、決められた設定どおりの性格や特性を持った(鈴木悟は頭が良いと思ってる)NPC達が飛ばされた先の世界に与える影響を楽しむダークでコミカルな作品です。

私はアニメ1期にハマり、原作小説が欲しくて全部買ってしまいました。

このアニメ、現在3期まで続いていて、(個人的な意見ですが)怒られるのを承知で言うと3期はアニメの質が落ちたように感じたんですよね。

当然の帰結ながらアニメのブルーレイは買いませんでした。

ここからが問題で、3期アニメのブルーレイを全巻買うと特典小説が貰えるんですよ。

いきなりですが、特典小説の太さを想像して下さい。

 

どうでしょうか?

 

 

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何と416ページ!太すぎるやろ!

この特典小説、とある人気キャラが出るIFストーリーで本編とは関係無いんですが、読みたい人が殺到し、ネットオークションで20万~30万円で取引されるハメになりました。

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現存するライトノベルで一番高い本じゃないだろうか。。。

私は未だに読めてません。いつか読みたいです。ほんとに。(買う一歩手前まで行った)

 

ログ・ホライズン」はゲーマー向け

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こちらもゲームモチーフの作品ですね。

エルダーテイルというネットゲームのプレイヤーたちが大型アップデートの日にゲームの世界に取り込まれてしまいます。こういった作品は脱出が目的になりがちですが、プレイヤーたちは現実とゲームが融合したような世界に戸惑いながらも、生活する基盤を作っていきます。

 

導入はこのくらいにして、タイトルのゲーマー向けな理由について説明しましょう。

大規模戦闘(多人数レイド戦)

このエルダーテイルというゲームですが1人で無双するゲームではなく、12人で行うハーフレイド、24人で行うフルレイドなど多人数で大型モンスターと戦うレイド戦がストーリーの華です。

FF14をやってる人ならイメージし易いと思いますが、タンク、DPS、ヒーラーなど役割ごとに技術・知識を振り絞って勝利を目指すわけですね。

作中のプレイヤーたちのレイド戦への取り組み方がまさに、という感じでリアリティがあり、同じようなゲームをプレイした方ならとても楽しめると思います。

逆にこういったゲームをやらない方には伝わりにくい描写が多いかもしれません。

 

設定の細かさ

ログ・ホライズンの特徴として"設定の細かさ"があります。

作品に登場する種族や職業(ジョブ)毎の技の性能(詠唱時間・リキャストタイム・ディレイタイム)などが事細かに事前に決められています。

ログ・ホライズンはなんとTRPG(テーブルトークRPG)のルールブックも有り、上記の設定やデータが網羅されています。

※普通はラノベ作者にゲームを作る能力を求めるのは酷だと思いますが・・・。

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先出しで設定がカッチリ決まっているため、後付けで都合の良い要素が出てきて勝利!といった展開は殆どありません。※ネタバレ対策のため殆どと言っておきます

ただし、ゲームのルールの穴をつくプレイヤーというのはいつの時代も居ます。ただのゲームでは無くなったエルダーテイルの穴に気付くプレイヤーの動きもまた見どころです。

エルダーテイルのネタ元

ここまでの話を読まれた方はログ・ホライズンってFF14を参考にしてる?と思われるかもしれませんが、EverQuestというゲームが基になっており類似点が非常に多いです。ちなみにエルダーテイルには職業のビルドやユニークな性能を持った装備(レイド戦の報酬など)も存在します。こういった部分はFFと違うところでしょうか。

そういえばFF11開発当初のプロデューサーもEverQuestにハマってた話は割と有名ですね。レベル制MMOの源流の一つなんでしょうね。

2021年1月13日からNHK Eテレでアニメ3期も始まります。こちらも興味があれば是非。

  

「りゅうおうのおしごと」と間違った聖地の楽しみ方

[白鳥 士郎, しらび]のりゅうおうのおしごと! (GA文庫)

聖地ってなんだ!オタクか!

そうです。

"りゅうおうのおしごと"は将棋がモチーフの作品で主人公は中学生棋士竜王の九頭竜八一。この竜王、表紙にも描かれている小学生の雛鶴あいを弟子に取ることになります。

ロリィな小学生が表に出てるせいで勘違いされがちですが、この作品は将棋の切った張ったの描写が熱すぎるのが見どころです。

しょうがないんですが、アニメは小学生要素が売りな感じで主人公の将棋の描写が少ないのが残念ですね。

"りゅうおうのおしごと"は大阪市福島区にある関西将棋会館、まぁ舞台が大阪なんですよ。で、主人公の弟子が大阪新世界ジャンジャン横丁の将棋クラブで賭け将棋をして勝負事の厳しさを学ぶというとんでもない話が有るんですが、アニメでは賭け要素がカットされてしまい、何故かプロの弟子が市井の将棋クラブで戦うという謎エピソードになってしまいました。

 

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この作品、将棋については関西若手棋士ユニットの西遊棋(さいゆうき)が監修されてたり、まぁ適当なことを書く作品では無いのですが、新世界には良く行くので、あの建物って賭け事とか行われてたの?とちょっと驚きました。

調べたら実際に数十年前は、金を賭けて将棋を指して生活している真剣師たちが存在したようです。現在のことはわかりませんが・・・。

ジャンジャン横丁を通った時にこの聖地の中をうろんげな目で覗いたりしてます。

 

妹さえいればいい。」から学ぶラノベ

 [平坂読, カントク]の妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)

 このタイトルを見て、またヒロインが実の妹や義理の妹のラノベか!と思われること請け負いでしょうが、実際は真逆の作品です。

主人公は羽島伊月。妹は居ませんが、居ないからこそ妹物のラノベを書く作家です。

作家としては中堅どころで、才能で売るタイプと理論で売るタイプという分け方で言えば才能タイプです。

主人公以外にも色んなラノベ作家が出てきます。そういった作家や気の置けない友人たちと作中ではTRPGや作家ならではのゲームで遊んだりします。

作家として生きていく上では作品を売りながら、出版社に頼まれたお仕事をこなさなければいけません。このお仕事の部分がライトノベル的ながらもシビアに書かれてます。

そもそもラノベ作家ってラノベの事は良く知ってるんだからラノベモチーフの作品ってもっと有っても良いのでは?と思いますが、作中の説得力の問題も有りますし新人では中々書かせて貰えないのかなと思います。(この話どこかのラノベで読んだ気もする)

 "妹さえいればいい。"は"僕は友達が少ない"が代表作の平坂読先生が書かれています。自身の経験からどこまで本当でどこから嘘か判らないようなリアルなエピソードが出てきたり、「小説家になろう」のようなユーザー投稿サイトからデビューした作家も登場し、物語を面白くしていきます。

作中ではラノベ業界から去る者についても書かれます。私が昔読んだ作品の作家って今何してるんだろうなぁど思いふけりました。

ライトノベル読んだこと有る人向けですが、既に完結済ですし良かったら読んでみてはいかがでしょうか。読んだ後に読むラノベの見方が少し変わると思います。

 

無職転生」と消えたエピソードの思い出

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小説投稿サイト「小説家になろう」で何らかの小説を探して読んだことある方は知ってるかもしれませんが、2019年頃まで同サイトの総合ランキングで1位に居続けてた異世界転生の金字塔とも言える作品です。

内容を説明すると、現代日本で引きこもり失敗した主人公が心を入れ替え、前世を悔いて異世界でやり直し。※ここまで頻出

ゲーム的なレベルやパラメータ、メニューウインドウのようなものは存在せず、転生要素を抜けば剣と魔法の王道ファンタジーとも言えます。

主人公の足場は常に安定せず、危険やイベントに晒され続けながら、機転と前世の後悔から来る勇気によって前に進んでいきます。これが結構ドキドキして楽しい。

で、私はリアルタイムで更新を追っかけてたんですが、掲載から外れ(恐らく)今でも読めないエピソードが存在します。

簡単に言えばある重要キャラの兄弟が重要キャラの子供とくっ付いて駆け落ちしてしまうお話です。(ネタバレを避けた判りづらい表現)

この話が掲載された後、感想欄(小説家になろうでは読者が感想を書ける掲示板のようなものがある)は荒れに荒れました。私は意義の有る話ですし消さない方がよかったと思ってます。

※主人公とくっ付く未来を夢見ていた人、甥(姪)との駆け落ちに倫理観の問題を感じた人など怒っていた人の理由は様々だと思います

これまで上手く進めてきた作者も失敗したと思ったのか、このエピソードは削除され読めなくなったものの、この後の展開は事件が起こった前提で書かれており、穴抜けの奇妙な状態で続き完結しました。

この話、リアルタイムでは皆騒いでるし事件に出くわした!って私も思ったんですが、こうやって時間が経って人に話すためにまとめると、当時の感情も説明しにくいし、実は大したこと無い気もしてきたので、逆に書いた意味が有ったかもしれません。

アニメになったらTwitterとかで蒸し返されそうではありますね。

そんな無職転生は2021年1月からアニメが始まります。

この作品のアニメ化のために製作会社まで作ったとかなんとか。

TVアニメ『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』PV第2弾/1月10日(日)放送スタート - YouTube

ロキシーかわいいよ。

 

さいごに

いかがでしたか?ラノベを読まない人が多そうなのに私がこの記事を書いた狂気に少しでも触れて頂けたでしょうか。

年末年始も近いですし、紹介した作品が皆さんの暇つぶしの一助にでもなればとても嬉しいです。

以上です。お付き合い頂きありがとうございました。